スタッフに子どもが生まれる!美容室がやるべき手続き7選
「妊娠しました」「妻に子どもが生まれます」――スタッフからうれしい報告を受けたとき、サロン側は何から始めればよいのでしょうか。
予約の引き継ぎやシフト調整とあわせて、社会保険料の免除、出産手当金、育児休業の給付金などの準備が必要です。提出先も期限も同じではありません。
今回は、妊娠・出産の報告から休業、復職までの主な対応を7つに整理します。健康保険・厚生年金と雇用保険に加入するスタッフを想定し、会社の届出と、本人の申請を会社が支える対応を分けて説明します。
目次
1.報告を受けたら、制度の説明と希望の確認
2.産休に入ったら、社会保険料免除の届出
3.出産手当金は、会社が休業・賃金を証明
4.育休・産後パパ育休でも、社会保険料免除を申出
5.産後パパ育休の給付金を、ハローワークへ申請
6.育児休業給付金は、初回・継続・延長を管理
7.給与計算と復職後の手続きを確認
サロンの産休・育休対応はSHARO tokyoへ
1.報告を受けたら、制度の説明と希望の確認
本人だけでなく、配偶者の妊娠・出産の申出も対象です。育児休業・産後パパ育休の内容、社内の申出先、給付、休業中の社会保険料の取扱いを個別に伝え、取得意向を確認します。全員向けの掲示だけでは足りません。
面談や書面で行い、FAX・メール等は本人が希望した場合に利用します。2025年10月からは、勤務時間帯・勤務地・制度の利用期間・業務量等について個別に意向を聴き、配慮することも義務になりました。希望のすべてを必ず実現するという意味ではありませんが、検討と説明が大切です。
妊娠中のスタッフには、健診の時間確保や医師等の指導に応じた措置、請求に応じた時間外・休日・深夜業の制限等も確認します。立ち仕事や長時間の施術など、現場の負担を具体的に話し合いましょう。
産前休業は本人の請求で原則6週間前(多胎妊娠は14週間前)から。産後は原則8週間就業禁止です。6週間経過後は本人の請求と医師の判断による例外があります。妊娠・休業等を理由とした不利益取扱いは禁止され、ハラスメント防止も必要です。
実務上の準備:予定日、休業希望、社内で誰まで共有してよいか、連絡先を確認し、面談内容を記録します。任意の妊娠報告書が未提出でも、口頭の報告を放置しないこと。予約の引き継ぎは本人の体調と希望を踏まえて進めます。
2.産休に入ったら、社会保険料免除の届出
対象者が産前産後休業を取得したら、会社は「産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」を提出します。休業しているだけで自動的に免除になるわけではありません。
提出先:日本年金機構の事務センターまたは年金事務所(電子申請も可)
提出時期:産前産後休業期間中、または終了後、終了日から起算して1か月以内
予定と出生日・休業期間が変わった場合:変更届等を速やかに提出
免除されるのは本人負担と会社負担の両方です。開始月から、休業終了日の翌日が属する月の前月までが基本。終了日が月末なら、その月まで対象です。
健康保険組合に加入しているサロンは、健康保険分の届出先・様式を組合にも確認してください。
3.出産手当金は、会社が休業・賃金を証明
出産手当金は、健康保険の被保険者が出産のため休み、給与を受けられない場合等に支給される給付です。給与がある場合は調整されることがあります。雇用保険の育児休業給付金とは別の制度です。
申請主体は本人です。会社は出勤簿・賃金台帳を確認して申請書の事業主欄を証明し、本人と提出担当を決めます。医師・助産師の証明も必要です。
提出先:加入する協会けんぽ・健康保険組合等
時効:出産のため働かなかった日ごとに、その翌日から2年
「2年あるから後でよい」ではなく、休業中の生活を支えるため、給与の確定後に円滑に証明できるよう準備しましょう。出産費用に関する出産育児一時金とは別なので、混同しない説明が必要です。
4.育休・産後パパ育休でも、社会保険料免除を申出
育児休業や出生時育児休業(産後パパ育休)では、「育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届」で別途手続きをします。産休の届出だけで育休分まで処理されるわけではありません。
会社が日本年金機構へ、休業期間中または終了後、終了日から起算して1か月以内に提出します。開始前の提出はできません。延長・予定より早い終了の際も必要な届出を確認します。
月額保険料は開始月から終了日の翌日が属する月の前月までが基本です。開始月と終了日の翌日が属する月が同じでも、その月に14日以上取得する場合は免除対象になります。分割取得や休業中の就業がある場合は、日数の数え方を確認しましょう。
賞与は月額保険料と条件が違います。育休の場合、賞与月の末日を含む連続した1か月を超える休業が必要です。短い産後パパ育休だけで賞与も免除、と決めつけないこと。産休中の賞与は産休の免除期間に基づいて判定します。
産休・育休のいずれも、保険料免除対象の賞与を支給した場合でも賞与支払届は支払日から5日以内に提出します。
根拠:日本年金機構・保険料免除/14日要件・賞与の免除要件/賞与支払届
5.産後パパ育休の給付金を、ハローワークへ申請
出生時育児休業給付金は雇用保険の給付です。受給要件を確認したうえで、会社は休業開始時賃金月額証明書、受給資格確認・支給申請書と、賃金台帳・出勤簿・休業や出生を確認できる資料等を準備します。提出先は事業所を管轄するハローワークです。
申請期間は原則、出生日(予定日前の出生なら出産予定日)から8週間経過日の翌日から、その日から2か月を経過する日の属する月の末日まで。ただし、28日取得し終えた場合や2回目の休業が終了した場合は、早く申請できる取扱いがあります。該当する申請開始日と期限を個別に確認しましょう。
一定の条件を満たす場合には、出生後休業支援給付金の上乗せも確認します。対象期間、本人・配偶者の休業や例外事由、確認書類が必要で、全員に自動支給されるものではありません。
なお、2026年8月1日以降に開始する出生時育児休業では、申告する賃金の取扱いが見直されています。最新の申請様式・案内で処理してください。
根拠:厚生労働省・育児休業等給付の申請手続(2026年8月版)/2026年8月の手続き見直し
6.育児休業給付金は、初回・継続・延長を管理
通常の育児休業給付金も、事業所管轄のハローワークへ申請します。初回は休業開始時賃金月額証明書(未提出の場合)、受給資格確認・初回申請書等を準備します。
初回:初回支給申請と同時に受給資格を確認する場合、育休開始日から4か月を経過する日の属する月の末日まで
2回目以降:原則2か月ごと。交付された案内にある申請期間を管理(本人が希望する場合は1か月ごとも可)
延長:1歳・1歳6か月の節目に、延長事由と必要書類を確認
2025年4月以降、保育所等に入れないことを理由に給付を延長する際は、延長事由認定申告書・保育所等の申込書の写し・入所保留通知等が必要です。速やかな復職のための申込みかも確認されます。「保留通知さえあれば延長できる」と説明しないこと。休業の延長手続きと、給付の延長審査は分けて管理します。
出勤簿・賃金台帳を継続して整え、出生後休業支援給付金の対象もあわせて確認しましょう。
7.給与計算と復職後の手続きを確認
健康保険・厚生年金の免除と、雇用保険料は別です。免除対象月の健康保険・厚生年金は本人・会社負担とも免除されますが、雇用保険料は支払う賃金に応じて扱います。無給で賃金支払がなければ雇用保険料も発生しません。社会保険料は日割りではなく月単位で判定し、給与からの控除時期も確認します。
免除届を忘れた場合は放置せず、年金事務所等へ相談し、申出書と必要な理由書・休業の事実を確認できる資料を提出します。調整結果を確認し、本人から取りすぎた保険料も精算しましょう。
復職前には、勤務時間・予約枠・担当業務・休業中の連絡方法を整理。子を健康保険の扶養に入れる場合は、どちらの親の扶養とするか等を確認して被扶養者(異動)届を準備します。
時短等で復職後の報酬が変わるときは、本人の申出と要件に応じ、育児休業等終了時報酬月額変更届、養育期間標準報酬月額特例申出を検討します。2歳未満の子のため時短勤務する場合は、雇用保険の育児時短就業給付金も確認します。
子が3歳になる前には別途、柔軟な働き方の措置の個別周知・利用意向確認、両立に関する意向聴取等も必要です。出産時だけで対応を終わらせず、復職後の確認時期も予定に入れましょう。
根拠:日本年金機構・免除届の提出遅れ/復職後の報酬改定・養育特例/厚生労働省・育児時短就業給付
サロンの産休・育休対応はSHARO tokyoへ
大切なのは、「担当者・必要書類・提出先・期限」を一つの管理表にすることです。産休の免除、育休の免除、各給付の申請を別々に管理すると、引き継ぎもしやすくなります。
SHARO tokyoは、美容業界と成長企業の支援に力を入れる社労士事務所です。労務相談、就業規則、社会保険手続き、給与計算、HRテックの活用などを通じてサロン運営を支えています。
「初めての産休で、何をいつ出すのか分からない」「給付と給与計算をまとめて整理したい」というときは、出産予定日と休業予定をもとに、対応の順番を一緒に確認しましょう。
※2026年10月確認。主な手続きを整理した記事です。加入する保険、休業・就労・賃金の状況で対象や必要書類が異なります。実際の申請は最新の公的案内で確認してください。